プレスリリース

報道関係者各位
2022年02月28日
株式会社 社会情報サービス

PatientsMapデータによる新薬ニーズの傾向を分析
がん疾患は既存薬に対する不満、希少・難治性疾患は治療薬がない不満
異なる傾向が明確に

 株式会社社会情報サービスとエムスリー株式会社は、医師調査によるPatientsMap 2021JP(2021年度日本版)のデータを利用して、医師が新薬の登場を望んでいる疾患の背景にある、その理由について分析を実施した。

 表1は、各疾患を1人以上診療している医師が新薬の登場を望むと回答した割合が高い上位10疾患において、既存治療に対する不満別の医師割合を示した結果である。
 新薬要望上位疾患は、網膜色素変性症(該当医師割合:78.5%)、平滑筋肉腫(68.2%)、中皮腫(66.2%)、封入体筋炎(60.8%)、胆道がん(58.9%)、治療抵抗性統合失調症(56.5%)。
 これら疾患における既存治療に対する主だった不満点は「有効性」と「治療薬がない」であり、「有効性」が不満だという疾患は平滑筋肉腫(61.7%)、中皮腫(62.3%)、胆道がん(51.8%)、治療抵抗性統合失調症(48.2%)。「治療薬がない」ことが不満だという疾患は、網膜色素変性症(48.1%)、封入体筋炎(36.2%)であった。

 以上の結果から、医師が新薬を望む疾患には、既に治療薬が存在するが更に良い治療薬が望まれている疾患と、そもそも治療薬がないために新薬が望まれている疾患に大別されることが改めて確認できた。がん疾患で新薬が望まれる背景には既存薬に対する不満があり、希少・難治性疾患で新薬が望まれる背景には治療薬がないことへの不満があることが推察される。

 PatientsMapは毎年2万人以上の医師の協力により、約400疾患の診療率や患者数、アンメット・メディカル・ニーズ(新薬の登場を希望)、製薬企業各社のリアルMRとe-ディテールの活動状況について調査した大規模データベースで、2010年から10年以上にわたって同じ調査フレームで継続的に調査を実施している。
 2021年度日本版については、オプションデータとして新薬要望の理由(既存治療に対する不満点)と新薬を要望する患者割合についても調査を実施した。

(表1)各疾患の診療医師における新薬要望上位10疾患と、既存治療に対する不満点
※表に掲載した割合は各疾患を1人以上診療している医師を分母としたときの割合
順位疾患 新薬要望
医師割合
既存治療に対する不満点別 医師割合
有効性安全性費用
負担
用法
用量
剤型治療薬
がない
1網膜色素変性症n=15878.5%38.6%4.4%3.8%2.5%1.3%48.1%
2平滑筋肉腫n=10768.2%61.7%15.9%8.4%0.9%1.9%19.6%
3長鎖脂肪酸代謝異常症n=6*66.7%33.3%0.0%0.0%0.0%0.0%50.0%
4原発性高シュウ酸尿症n=3*66.7%33.3%33.3%0.0%0.0%33.3%33.3%
5中皮腫n=15466.2%62.3%16.2%13.6%1.3%0.6%9.1%
6封入体筋炎n=13060.8%29.2%3.1%3.8%0.8%1.5%36.2%
7ニーマンピック病 C型n=10*60.0%30.0%0.0%10.0%0.0%0.0%20.0%
8胆道がんn=87058.9%51.8%10.8%6.8%1.1%1.0%10.0%
9治療抵抗性統合失調症n=1,05556.5%48.2%18.9%3.6%2.3%3.4%6.9%
10非ジストロフィー性
ミオトニー症候群
n=16*56.3%25.0%6.3%12.5%6.3%6.3%25.0%
10コケイン症候群n=16*56.3%18.8%6.3%0.0%0.0%0.0%43.8%
Data sauce : PatientsMap2021JP 新薬ニーズオプションデータより
※各疾患において既存治療に対する不満別での医師割合が最も高いセルを黄色、2番目に高いセルを緑色に色付け
※小サンプルは参考値とする


「PatientsMap 2021JP」の概要

 M3医師パネルを対象に調査を実施。

調査対象 エムスリー会員医師
調査方法 インターネット調査
調査期間 2021年4月21日~2021年8月14日実施
集計サンプルサイズ 20,201サンプル
調査疾患数 442疾患
調査項目 総患者数(直近1ヶ月)
疾患別診療患者数(直近1ヶ月)
疾患別薬剤処方患者数(直近1ヶ月)
新薬を望む疾患
疾患別新薬を望む理由(既存薬に対する不満)
疾患別新薬を望む患者割合(新薬要望患者割合)
MR訪問を受けたメーカー(直近1ヶ月)
インターネットによる情報提供を受けたメーカー/MR経由(直近1ヶ月)
インターネットによる情報提供を受けたメーカー/MR経由以外(直近1ヶ月)
信頼しているメーカー

なお、本サービスにつきましては、日本国内では、株式会社社会情報サービスとエムスリー株式会社が共同で提供いたします。

■本件お問い合わせ先

株式会社社会情報サービス
e-mailpatientsmap@ssri.com
■株式会社社会情報サービス
設立 1982年4月
資本金 2,700万円
代表者 代表取締役 牧田 孝
従業員数 137名
所在地 本社
〒162-0067
東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F
大阪支社
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町4-6-3 大明ビル4F
関連会社 PDリサーチ株式会社
MDB株式会社
SSRI China Co., Ltd.(海外子会社)
SSRI Asia Pacific Co., Ltd.(海外子会社)
HIMA Research(海外関連会社)
URL https://www.ssri.com/
■エムスリー株式会社
設立 2000年9月
資本金 290億36百万円(2021年3月31日現在)
代表者 代表取締役 谷村 格
連結従業員数 8,249名(2021年3月31日現在)
所在地 東京都港区赤坂1丁目11番44号 赤坂インターシティ10階
URL https://corporate.m3.com/
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