株式会社 社会情報サービス
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薬局に来局された慢性疾患患者のQOLに関するハイブリッド調査
アンケートと薬歴を組み合わせた患者QOLに対する患者要因の研究
ポリファーマシーやアドヒアランスの影響も
株式会社社会情報サービスでは田辺薬局株式会社、株式会社グッドサイクルシステムと共同でアンケートデータと薬歴データを組み合わせた、ハイブリッド調査手法により研究を行っております。
本研究の主なテーマは、薬局の来局患者のQOLに影響を与える要因について多方面から調査し、医療従事者が取り組むべき課題について検討することです。
昨今、薬局においては医薬分業が進み、かかりつけ薬剤師といった患者と直接関わりを持つ機会も増え、業務の中心が対物業務から対人業務へとシフトしつつあります。そういった業務の中、薬局が取り組むべき目標としては患者のQOLの向上であると考えます。しかしながらQOLというものは一般に主観的なものであり、一律の評価が難しいものとなっております。
そこで、本研究では健康関連QOL尺度であるEQ-5D※を使用することで、患者のQOLをスコアという形で客観的に評価が可能としました。EQ-5Dは5つの質問からなる回答でQOLスコアを算出するものであり、これを患者へのアンケートにより収集、そして薬局の持つ薬歴データベースとそれらのアンケート回答を紐づけることにより多方面から分析することを可能としました。これらの分析により、患者QOLに影響を与える要因の抽出、並びにそれらの改善に向けた取り組みを検討しました。
本研究においては、2021年5月1日~2021年7月31日の間に田辺薬局の各店舗に来局された慢性疾患をもつ患者らにアンケートをとり、患者QOLや治療に関する満足度などを収集しました。これらのアンケート結果を、グッドサイクルシステムの協力によりアンケート回答患者の過去3年分の薬歴データと紐づけ、分析を行いました。
これら研究において明らかになった結果を元に、3月と10月に行われました2つの学会において田辺薬局、グッドサイクルシステムと共同発表をいたしました。そちらの内容についてご紹介いたします。
<日本薬学会 第143回年会 2023年3月25日~28日>「慢性疾患患者のQOLと医療情報の関連性に関する調査」
北海道で行われましたこちらの学会において、一般口頭発表を行いました。患者自身の属性や処方状況など複数の項目において患者QOLに与える要因について重回帰分析を行い、患者の年齢、患者の処方薬剤に対する満足度、処方薬剤数の3項目が特に患者のQOLに影響を与えていることを明らかにしました。
処方薬剤数については、処方薬剤数が多いほどQOLが低下するという結果でした。これについて、他の研究論文において多剤併用では薬物有害事象のリスクが増加する、所謂ポリファーマシーが既に問題になっています。今回、ポリファーマシーが患者のQOLについても影響が出るという結果を報告したことで、薬剤有害事象を回避するための薬剤数削減の取り組みが患者QOLの改善にも効果があるという、薬剤数削減の取り組みの重要性が改めて提起されました。
(日本薬学会 発表資料より抜粋)
<第17回 日本薬局学会 学術総会 2023年10月8日~9日>「来局された慢性疾患患者のQOLと薬歴情報の関連性に関する調査(第2報)」
名古屋で行われましたこちらの学会において、ポスター発表を行いました。患者のアドヒアランスを通院意識、服薬状況の2つの側面から捉え、患者のアドヒアランスがQOLに与える影響を調査しました。薬歴データを元に服薬状況と通院状況から通院アドヒアランス(以下通院AD)、薬歴指導の状況から服薬アドヒアランス(以下服薬AD)を評価し、問題なく通院している患者を通院AD○、残薬や服薬状況の問題がない患者を服薬○としてそれぞれの患者群のQOLスコアを算出し比較しました。
結果としましては、通院を忘れがちな患者は忘れずに通院している患者に比べてQOLが高くなっていました。これについて、患者の症状が落ち着くことで通院に対する意識の低下がみられるのではないかと考察しました。ただし、服薬が疎かになるとQOLが下がるということも同時に示唆されました。
通院を忘れがちな患者は、薬剤師が接する機会も少なくなる可能性があります。来院患者のQOLを維持するためにも、患者の症状が落ち着いても医薬品の継続服用が重要であることを指導する、服薬が疎かにならぬよう確りとモニタリングしていくなど、より適切な指導をしていくことが重要であるということを報告いたしました。
(日本薬局学会 発表ポスターより抜粋)
これらの2つの発表にて、薬剤数の削減や薬剤師からの服薬、通院指導が、患者QOLの改善に寄与することを報告いたしました。また、アンケートと薬歴データを掛け合わせるハイブリッド調査という手法を用いることで、この分析手法の有用性についても同時に周知いたしました。
今後も、患者QOLに限らず様々な要因について、引き続き連携しながら研究を継続していきます。これらの研究を通じて医療従事者の取り組みの改善、並びに患者と医療従事者のよりよい関係性を目指した施策について考えていければと思っております。
また、ハイブリッド調査について、本研究においては来局された慢性疾患の患者さんを対象に分析をしておりますが、慢性疾患に限らずある特定の疾患やある特定の医薬品が処方されている患者さんについてお調べすることも可能な手法となっており、今後は研究に留まらず幅広く活用する方法について考えております。
※ EQ-5D(EQ-5D-5L)とは、健康関連QOLを測定するために開発された包括的な評価尺度であり「移動の程度」「身回りの管理」などといった5項目の回答から、「完全な健康=1」「死亡=0」として健康状態のスコアを算出するものです。
■本件お問い合わせ先
株式会社社会情報サービス | |
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担当 | 高辻、伊藤(嘉)、木原(武) |
TEL | 080-8743-5575 |
高辻:ytakatsu@ssri.com 伊藤(嘉):yoshihiro_ito@ssri.com 木原(武):tkihara@ssri.com |
■株式会社社会情報サービス | |
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設立 | 1982年4月 |
資本金 | 2,700万円 |
代表者 | 代表取締役 牧田 孝 |
従業員数 | 137名 |
所在地 | 本社 〒162-0067 東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F |
大阪支社 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町4-6-3 大明ビル4F | |
関連会社 | PDリサーチ株式会社 MDB株式会社 SSRI China Co., Ltd.(海外子会社) SSRI Asia Pacific Co., Ltd.(海外子会社) HIMA Research(海外関連会社) |
URL | https://www.ssri.com/ |