毎年2月最終日は、世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day、以下RDD)です。
この日は、患者さんやご家族にとって、より良い診断や治療による生活の質の向上を目指して、疾患への理解と認識を高めるために設けられました。2008年からスウェーデンで始まり、日本でも2010年から2月の最終日に全国でイベントが開催されています。
希少・難治性疾患とは
希少・難治性疾患とは、非常に患者数が少ない疾患の総称で、現在、世界中で7,000種類以上の疾患が存在すると推定されています。
日本国内においては338疾患が希少・難治性疾患として厚生労働省に指定されていますが、未だに多くの患者さんが診断や治療の困難、社会的な孤立など、総合的な支援も含めて様々な課題に直面しています。
希少・難治性疾患への弊社の取り組み
弊社では、希少・難治性疾患患者さんやご家族の苦難を理解するとともに、患者さんやご家族と、社会・医療を繋ぐため、2018年からRDDの活動に対して協賛を続けてきました。
今回のRDDに際しては、希少・難治性疾患が抱える治療の困難さを広めるため、希少・難治性疾患の治療が他の疾患と比較して充足していないことを示す分析結果をご紹介いたします。この結果は、実際の医療現場で働く2万人の医師の声を反映したものであり、希少・難治性疾患の既存治療の課題を明らかにするものです。
この分析内容によって、希少・難治性疾患治療に対する理解が更に深まり、疾患研究や創薬、より効果的な対策を検討するための一助となることを願っています。
[ 既存治療に対する医師の不満を分析 ~PatientsMapデータから見えること~ ]
以下の図は、高血圧や花粉症といった患者数の多い疾患から希少・難治性疾患まで、約400の疾患の既存治療に対する医師の不満を分析した結果です。
この結果によると、既存治療に対する医師の不満は、治療薬がないこと(治療空白)が課題になっている疾患、治療薬があるものの有効性や安全性という基本性能の改善が求められている疾患、用法用量・剤型・費用負担といった治療薬の周辺要素の改善が求められている疾患の3つの群に大別されることがわかりました。
治療空白疾患群には、「網膜色素変性症」「封入体筋炎」「副腎白質ジストロフィー」「ミトコンドリア病」などの希少・難治性疾患が含まれています。治療薬の基本性能の改善が求められている疾患群には、がんに関連する疾患などが含まれています。そして、治療薬の周辺要素に改善が求められている疾患群には眼科系の疾患などが含まれていました。
そして、希少・難治性疾患とそれ以外の疾患に分けて大別した3群の割合を見ると、希少・難治性疾患では、治療空白が課題となっている疾患が多いことがわかりました。
最後に
弊社では、RDDの理念に共感し、患者さんやご家族と社会・医療を繋ぎ、治療の進歩と社会サポートの進展に貢献していくために、今後も希少・難治性疾患に関する情報の収集・解析・発信を続けてまいります。
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