プレスリリース

報道関係者各位
2010年03月24日
株式会社 社会情報サービス

電子処方データ「e-Prescribing TrackerTM」による“高血圧症・脂質異常症合併患者”に対する薬物治療の今後

  • e-PT解析の結果、2009年6月の開業医1,065施設における全診療患者80万3千例のうち、病名が高血圧症の患者は19万4千例(24.2%)、脂質異常症の患者は14万7千例(18.4%)であった。両病名の合併患者は9万4千例(11.8%)で、高血圧症患者の49%が脂質異常症だった。
  • 高血圧症治療で汎用されている薬剤、ノルバスクの使用率は全高血圧症治療薬中19.7%。一方、脂質異常症治療で汎用されている薬剤、リピトールの使用率は全脂質異常症治療薬中19.3%。
  • ノルバスクとリピトールの合剤であるカデュエットが昨年末に新たに発売されたが、その発売前の市場(2009年6月)では、高血圧症と脂質異常症のいずれも薬物治療を受けている患者のうち、ノルバスクとリピトールの併用患者は4.3%、ノルバスク以外のカルシウム拮抗薬とリピトールの併用患者は9.6%、ノルバスクを含む全カルシウム拮抗薬とクレストールとの併用患者は10.3%で、カデュエットの登場で市場構成がどう変容するか注目される。

 近年、生活習慣病患者は増加の一途をたどり、平成20年度からは高齢者医療制度の発足に伴いメタボリックシンドローム対策が実施されるなど、その対応が大きな課題となっている。そうした中、平成21年12月には患者の服用し易さを考慮し、国内初となる高血圧症と脂質異常症治療薬の合剤、カデュエットが発売され、今後の市場浸透が注目を集めている。

 平成18年度の国民健康・栄養調査(厚生労働省)による高血圧症患者は39百万人で成人人口における45.1%、同じく脂質異常症患者は19百万人で15.8%。

20歳以上の成人の二人に一人が高血圧症に罹り、六人に一人が高脂血症に罹っているという実態になる。

患者増を背景にこの市場は治療薬開発も盛んで、次々と新しい新薬の投入が行われて競合は一層の激しさを増している。

 今般、新たに開発した電子処方データ「e-Prescribing Tracker TM」(*)を用いて、開業医市場における高血圧症および脂質異常症治療薬の使用率、合併率、およびノルバスクとリピトールの使用率、併用率といった数値を分析することで、カデュエット市場の可能性について考察した。

 e-PTデータによると、2009年6月の開業医1,065施設の全診療患者数、803,502例に対し、高血圧症194,055例で24.2%、脂質異常症は147,840例で18.4%であった。

その内、両疾患の合併患者は94,490例、11.8%で、高血圧症患者の中の48.7%、すなわちその約半数が脂質異常症を合併していた。(図1)

 治療薬剤で見ると、全高血圧症治療薬投与患者170,692例のうち、カルシウム拮抗薬処方例が119,802で70.2%、そのうちamlodipine処方例66,009、38.7%(ノルバスクは33,581例、19.7%)。(図2)

 脂質異常症治療薬処方例98,206のうち、HMG-CoA R阻害薬処方例が77,360、78.8%で、そのうちatorvastatin(リピトール)は18,976例、19.3%であった。

カデュエットのターゲット患者である” 高血圧症治療薬と脂質異常症治療薬の併用患者”推計997万人(+)のうち、現在ノルバスクとリピトールを併用している患者数が43万人(4.3%)、その他のアムロジピンとリピトールの処方患者が35万人(3.5%)、amlodipine以外のカルシウム拮抗薬とリピトール処方患者が60万人(6.0%)であった。

一方で、amlodipineとリピトール以外のstrong-statin(rosuvastatin+patavastatin)との併用例は93万人(9.3%)、amlodipine以外のカルシウム拮抗薬とstrong-statinとの併用例は76万人(7.6%)であった。

 高血圧症患者の約半数にもおよぶ高血圧症と脂質異常症との合併例市場が、両疾患を一剤で治療できる製剤の登場によって今後、どの様な様相を示すのか、その推移が注目されるところである。

(*)e-Prescribing Tracker TM は、レセコンを保有する開業医1,000施設から80万症例/1ヶ月の電子処方データを収集し解析するデータサ-ビスで、今回の分析には2009年6月データを用いています。
(+)国民健康・栄養調査(厚生労働省)による高血圧症患者39百万人を基に、e-PTデータで得た両疾患の薬物治療患者数より推計しました。


【会社概要】
株式会社 社会情報サービス
住所東京都新宿区富久町10-5
設立1982年4月
資本金2,700万円
事業内容医薬品市場調査の企画実施分析、データ集計ソフト開発
代表者牧田 孝(代表取締役社長)
従業員50名
加盟団体日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)
日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)
URLhttp://www.ssri.com/
連絡先安藤、傳農(でんのう)
TEL03-6709-9710
FAX03-5361-7431
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