調査会社の株式会社社会情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:牧田孝)は、同社が提携しているヘルスケアリサーチ会社の米国カンターヘルス社が5月23日にワシントンDCで行われたISPOR (International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research)において発表した、10カ国で実施している国民健康意識調査NHWSの米国のデータによる乳がん患者のプロファイリング分析結果を、日本向けに紹介しました。
若年層の乳がん患者はアドヒアランス不良の傾向
NHWSではアウトカム指標として医学研究・論文で使用される妥当性の検証がされた評価尺度Morisky Medication Adherence Scale (MMAS)を採用しており、そのスコアによって服薬アドヒアランスが良好か不良であるかを見ることができます。タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬などを含む経口剤による術後/補助療法などの維持療法は乳がん患者の長期生存において重要とされていますが、データ分析の結果によれば、女性乳がん患者のうち若年層患者はそれらの経口剤について、アドヒアランス不良の傾向にあることが示されました。
アドヒアランス不良が「失念」によるものか「意図的」かによって患者の特徴も異なる
さらにこの評価尺度MMASの回答結果により、服用忘れや外出時携行忘れなどの失念によるアドヒアランス不良と、症状の緩和、あるいは、悪化を感じた場合に服用しないなどの意図的なアドヒアランス不良とに分けることが可能です。それらについて分析した結果、失念によるアドヒアランス不良患者は肥満傾向にあり、生活習慣の観点から見ると普段あまり運動せず、喫煙者が多いことが示されました。人種別では白人ではない患者に失念によるアドヒアランス不良の傾向が見られました。また意図的なアドヒアランス不良患者については身長・体重から算出されたBMIは正常値である傾向にありますが、低所得者層に多いことが分かりました。
アドヒアランス向上啓発の重要性
米国カンターヘルス社は、本分析結果から補助療法などの普及により乳がんの効果的治療法が確立されている現在、アドヒアランスの向上が病気の進行を遅らせること、且つ、ヘルスアウトカムの改善に重要としています。またアドヒアランス不良群の特徴およびその理由を把握することは、医療従事者や医薬品メーカーによるアドヒアランス向上措置や治療コストの削減、並びに健康や副作用に関する患者教育などの助けとなるだろうと考えています。
国立がん研究センターによれば、日本における乳がん5年相対生存率は91.1%と高水準ではありますが、臨床進行度などの状況によってはその生存率は低くなることから、社会情報サービスは我が国においてもアドヒアランスの向上に対する啓発は乳がんの生存率を上げる重要な要素のひとつであり、日本人でも同様の分析を行う価値があるとの見解を示しています。 なお、NHWSは年1回毎年実施しており、本分析については2010~2015年データが使用されました。また、この分析結果については、米国カンターヘルス社のホームページで閲覧可能です。
Predictors of intentional and unintentional non-adherence, and associated health utilities, among women receiving oral treatments for breast cancer
https://www.kantarhealth.com/docs/publications-citations/ispor-breast-cancer-amp-adherence-us-nhws-upload-version-1v0-27-may-2016.pdf
<NHWSの概要>
対象疾患・症状 | : | 165以上 |
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調査対象 | : | 10ヵ国(米国/EU5ヵ国/日本/中国/ロシア/ブラジル)の一般生活者 |
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調査開始年 | : | アメリカ - 1998年 イギリス、フランス、ドイツ - 2000年 イタリア、スペイン - - 2004年 日本 - - 2008年 中国 - - 2009年 ロシア、ブラジル - 2011年 |
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サンプルサイズ | : | アメリカ - 96,700 EU5ヵ国 - 80,600 日本 - 30,000 中国 - 20,000 ロシア - 12,000 ブラジル - 10,000 |
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調査方法 | : | インターネット調査(新興国では一部会場調査も併用) |
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特徴 | : | アウトカム指標として医学や公衆衛生で使用されているSF-36, WPAI, ACT, LFQ, PHQ-9などを採用しており、包括的な患者像の把握が可能です。 有病率や診断率などの他、患者の特徴(考えや行動)についても把握することができ、それらを使用して論文やポスターも数多く(800件以上:2016年現在)発表されています。 |
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URL | : | /service/omnibus/nhws/ |
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■本件お問い合わせ先
株式会社社会情報サービス 企画調査BU NHWSチーム |
03-6709-9710 |
03-5361-7431 |
nhws@ssri.com |
平日9:30~17:30 |
■株式会社社会情報サービス
1982年4月 |
2,700万円 |
代表取締役 牧田 孝 |
110名 |
本社 〒162-0067 東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F |
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