株式会社社会情報サービス(SSRI)及びその子会社SSRI CHINA(艾斯信息咨詢有限公司)は自主企画により「中国におけるCOPD市場調査」を実施、中国のCOPDに関するセカンダリーデータ分析と200人のCOPDに携わる医師の診断・治療の状況、薬剤の使用や満足度、将来の見通しまで全般についての調査結果を発表した。
増加する患者数、国や医師も大気汚染を原因に挙げる
中国は急速な経済発展の中で、大気汚染も深刻な問題となっている。中国疾病予防控制中心(疾患予防センター)はCOPDの原因として、他国にはない大気汚染を挙げている。患者の有病率は2006年の中華医学会(中国医学協会)による発表では8.2%と他国と同水準であったが、約10年たった現在は増加も予想され、医師調査結果でも8割以上の医師が5年前に比べて診療患者が増加しているとしている。今後5年後、10年後に診療患者が増加するとする医師は75%強、10年後の割合は現在の137%と大幅に増えると見込んでいる。人口比でみても現在すでに1億以上のCOPD患者がいることは間違いなく、将来の巨大市場となる可能性を含んでいる。
使用薬剤トップ薬効はLABA/ICS合剤が73%
今回の調査で得られた200人の医師による回答から、中国医師のCOPDの薬物治療使用率はLABA/ICS合剤73%で最も高く、次いでステロイドが71%。ブランドでは、LABA/ICS合剤がアストラゼネカのシムビコートタービュヘイラーが最も高く、ステロイドではアストラゼネカのパルミコート吸入液とファイザーのソルメドロールであった。各薬効についての満足度については、これら上位の薬効についての満足度は高く一方漢方薬も満足度がもっとも低いことからグローバルな新薬への評価の高さが示された形となった。
開発薬17製品の認知度薬剤トップはベーリンガーの「ストリベルディ」が52%
COPD領域の開発薬の認知状況/期待度では、中国国内発売に向けて開発を行っている17製品について、資料提示がない前提で、各開発中の新薬についての認知度と期待度を確認した。
認知度についてはベーリンガーの「ストリベルディ」が52%で最も高く、GSK/テラバンス共同開発の「ビランテロール」47%、アストラゼネカの「ロフルミラスト」46%、ノバルティスの「ウルティブロ」45%と続く。期待度を複数回答で聞いたところベーリンガーの「ストリベルディ」、アストラゼネカの「ロフルミラスト」が27%で最も高く、特にアストラゼネカの「ロフルミラスト」は3級病院の呼吸器科で34%で最も高い。一方最も期待している新薬を聞いたところ配合剤のGSK/テラバンスのレルベア(Fluticasone Furoate+ Vilanterol)が19%で他を圧倒し、特に3級病院の呼吸器科が26%でノバルティスの「ウルティブロ」の14%を大きく引き離した。
37社MRの訪問トップはGSKで51%
中国における各メーカーのMR訪問状況についても質問を試みた。本調査では外資・中国内資計37社についての直近1か月でMRの訪問を受けたメーカー、また喘息やCOPDに関する情報提供の状況についても質問し回答を得た。その結果、訪問とCOPDの情報提供何れもトップはGSKで訪問率は51%、次いで、アストラゼネカ、ベーリンガーの順であった。これら3社が他のメーカーを大きく上回った。
日系企業は、大塚、大日本住友、武田が10%程度の訪問率であった。
なお、本調査レポートはPart1としてセカンダリーリサーチレポート、Part2として200人の医師調査レポートの2部構成で、COPDの全体像がつかめる内容となっている。
調査構成
Part1 | Part2 |
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中国COPD市場概況に関する セカンダリーリサーチ | SSRI・SSRI Chinaによって 中国現地で実施した プライマリーリサーチ |
Part1内容抜粋
- 中国COPDの有病率、死亡率、病因
- COPD診断・治療方法比較:中国 vs GOLD
- 中国COPDの診断・治療における問題点
- 中国のCOPD市場の参入メーカー活動
- 中国のCOPD市場の新薬開発状況
現在開発中・中国未発売COPD治療薬
種類 | 一般名(海外製品名) |
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長期間作用性β2刺激薬 (LABA) | オロダテロール(ストリベルディ) |
ビランテロール |
長期間作用性抗コリン薬 (LAMA) | グリコピロニウム(シーブリ) |
ウメクリジニウム(エンクラッセ) |
TD-4208 |
LAMA/LABA合剤 | グリコピロニウム + インダカテロール(ウルティブロ) |
ウメクリジニウム + ビランテロール(アノーロ) |
チオトロピウム + オロダテロール(Spiolto/Stiolto) |
アクリジニウム + ホルモテロールフマル(Duaklir Genuair) |
グリコピロニウム + ホルモテロールフマル |
ICS/LABA合剤 | フルチカゾン + ビランテロール(レルベア) |
ブデソニド + ホルモテロールフマル(Vylaer Spiromax) |
モメタゾン + ホルモテロールフマル(デュレラ) |
フルチカゾン + ホルモテロールフマル(フルティフォーム) |
ICS/LAMA/LABA合剤 | フルチカゾン + ウメクリジニウム + ビランテロール |
ベクロメタゾン + グリコピロニウム + ホルモテロールフマル |
PDE-4阻害薬 | ロフルミラスト |
Part2内容抜粋
開発中新薬の認知状況
メーカーの訪問状況・COPDに関する話題があったメーカー
Part2調査概要
【調査地域】
中国6都市
一級都市:北京、上海、広州
二級都市:瀋陽、成都、鄭州
【調査手法】
ウェブ調査
【リクルート条件】
施設タイプ:三級,二級病院
役職クラス:主任・副主任・主治医師
臨床経験:3年以上
診療科:呼吸器科、一般内科*(一般内科は一部の二級病院のみ)
患者数:月間COPD患者数≧30(呼吸器科)、月間COPD患者数≧10(一般内科)
【サンプルサイズ】 | 一級都市 | 二級都市 | |
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北京 | 上海 | 広州 | 瀋陽 | 鄭州 | 成都 | 武漢 | 合計 |
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三級病院 | 呼吸器科 | 17 | 17 | 16 | 17 | 17 | 16 | - | 100 |
二級病院 | 一般内科 | 8 | 9 | 8 | 8 | 5 | 8 | 4 | 100 |
呼吸器科 | 8 | 8 | 8 | 2 | 6 | 9 | 9 |
合計 | | 33 | 34 | 32 | 27 | 28 | 33 | 13 | 200 |
【調査項目】- 中国COPD概況
- 患者数、患者構成、危険因子、診断方法
- 中国COPD治療実態
- 薬物治療内容、処方割合、使用製品名、治療目的、アンメットニーズ
- 開発中・未発売のCOPD新薬
- 新薬に対する認知度、期待度
- COPD患者の将来像
- 将来患者数予想、将来に重要な課題
- COPD治療薬メーカーやMRの活動状況
- 訪問メーカー名、信頼する情報ソース
【調査期間】
2016年3月~4月
■本件お問い合わせ先
株式会社社会情報サービス |
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担当 | 薛 超(セツ コウ) |
TEL | +81 03-6709-9710 |
e-mail | cxue@ssri.com |
■株式会社社会情報サービス |
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設立 | 1982年4月 |
資本金 | 2700万円 |
代表者 | 代表取締役 牧田 孝 |
従業員数 | 110名 |
所在地 | 本社 〒162-0067 東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F |
大阪支社 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町4-6-3 大明ビル4F |
関連会社 | PDリサーチ株式会社、SSRI China Co., Ltd.(中国法人) |
URL | http://www.ssri.com/ |