プレスリリース

報道関係者各位
2020年04月28日
株式会社 社会情報サービス

新型コロナウィルス感染症に関する医師意識調査第2回結果を発表
<第1報 医師の診療活動への影響>
感染を疑う患者を診た医師割合は66%に増加、GPでは約7割に
診療患者数の増減傾向、生活習慣病が減少は50%を超える

感染リスクへの不安を感じる医師は3月と比較し6割から8割に増加
オンライン診療の意向は半々、意向無しは患者の様子つかめず限定されることを懸念

 4月7日の非常事態宣言後、新型コロナ禍問題はより深刻になっており、医療体制の崩壊への懸念はさらに高まっている。ヘルスケア・医療業界専門調査会社の株式会社社会情報サービス(以降、SSRI)は、3月19日発表の医師意識調査に続き、その後の医療現場の現状や医師の意識の変化をとらえるべく第2回調査を実施した。
 調査設計は、前回同様医療現場で診療に従事する病院(20床~/以下HP)と開業医診療所(~19床/以下GP)の内科系医師を対象としたが、回収数は前回の558人(HP341人、GP217人)から1,004人(HP634人,GP370人)に拡大して実施した。
今回調査は、非常事態宣言が全国に対象拡大した直後の4月20日の週までの状況をとらえる形で実施された。(調査項目は下欄参照)

<66%が感染を疑った患者を診療、推計40万人か>

 前回に続き、新型コロナウィルス感染を疑った患者の有無では、疑ったことが有るは66%であった。前回調査では、2月26日以前で20%、2月27日~3月3日で27%、3月4日以降で42%と増加していたが、今回さらに約20%増えたことになる。特にGPではほぼ7割に上っていることが確認された。
 感染を疑ったことがあるとした医師の平均患者数は4.3人であった。これは内科医師を14万人と仮定すると、推定約40万人に上っていることとなる。(14万Drs×診療率65%×診療医師の平均診療患者数4.3人≒40万人)

<8割の医師は感染リスクの不安感を訴え>

 医師自身も感染リスクを感じている。感染リスクに対する不安感は非常に不安28%、やや不安53%を合わせて8割と前回の6割から増加した。特に非常に不安は前回12%であったが今回は倍増以上になっている。さらに精神的負担感については、前回3月の7割(非常に負担+やや負担の合計)から8割となり、医師の診療活動のストレスは明らかに高まっていることがうかがえる。

<生活習慣病患者の受診抑制の一方で発熱などの感染症状を疑う受診患者の増加も>

 そのような中で日常診療として外来患者数の変化については、特に生活習慣病患者が受診を抑制している傾向が予測される結果となった。各疾患を見ている医師における患者が減少したと回答した医師の割合の上位は、アレルギー(喘息除く)57%、脂質異常症53%、高血圧52%で患者数が多い慢性疾患が上がった。一方で患者が増加したとする割合は全体に非常に低いものの、発熱14%、咳・タン・のどの痛み13%、味覚障害などの感染を疑う症状の訴え10%、不眠・うつ9%は、他の疾患では1%に満たないものが多いなかで、それぞれ高めの傾向が表れている。

<受診抑制による原疾患悪化への懸念も>

 以上のような受診抑制により生じる問題として、定期通院患者の異変を見逃す52%、服用薬の不足42%、慢性疾患が重症化した際の適切な対応への影響37%、急性期患者の初期対応不備による重症化26%など、患者が感染を不安に受診しないことで原疾患治療に悪い影響をもたらす懸念を感じていることが示される結果となった。

図1.患者が診療に来ないことで生じる問題

<オンライン診療浸透の導入意向は2分>

 患者の受診抑制の解決と同時に医師の感染の予防も可能とするオンライン診療であるが、最近始めた医師も含め、現在実施している医師は13%であり、GPでは7%とまだ1割を満たしていない。4月10日初診についても解禁となったがその情報も得たことも影響してか、開始予定4%・行いたいと思う45%との回答で半数以上は導入または検討している。しかし、今後も行いたいと思わないとする医師も39%で特にGPは53%と半数を上回っていた。これは患者の様子が分かりにくい56%、オンライン診療できる患者が限られる53%、患者が機器を使いこなせない42%など現実的な問題を挙げており、実施側の意見が割れその課題も浮き彫りになった。

<診療所経営への不安も浮上>

 今回の新型コロナ感染問題は社会への大きな打撃を与えており、様々な産業にマイナスの影響をもたらしている訳だが、今回調査に現れた受診患者の減少は、医療経営にも悪い影響をもたらす可能性も含んでいる。多くが診療所経営者でもあるGPでは診療所経営への不安について、非常に39%、やや38%を合わせ76%が不安を感じている。

 現在、医療崩壊の可能性とそれを防ぐことは直面する問題として様々な施策が実施されつつあるが、プライマリーケアを担う診療所の医療経営問題が浮上する可能性も示唆されているのではなかろうか。

 社会情報サービスは今回の第2回調査の結果を、何回かに分けて公表することを予定している。次回は医薬品に関する適切な情報提供が行われているかなど、医薬品メーカーからの情報提供を受けている状況や現在臨床での使用に向けて準備が進められている治療薬についての結果を報告する。

本調査の結果は、調査に協力した医師へのフィードバックと報道資料としての提供、また医療医薬品関連産業に対しても提供する予定。


調査概要

調査対象 実臨床をおこなっている内科系医師
調査対象条件 100人/月以上の診療をおこなっている医師
対象診療科 一般内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、代謝内分泌糖尿病、血液内科、神経内科、精神・診療内科、小児科、その他
使用パネル SSRIパネル
有効回収数 1004件(20床以上の病院勤務医師-634件、19床以下の診療所勤務医師-370件)
調査実施期間 2020年4月22日~2020年4月24日
調査項目
  • 診療患者数
  • 新型コロナウィルス感染症疑う患者診療有無
  • その際の対応
  • 各疾患タイプの患者数増減
  • 著しく減少した患者タイプ
  • 受診抑制による問題点
  • 受診抑制における解決法
  • オンライン診療の実施状況
  • オンライン診療実施における課題や問題点
  • オンライン診療の実施メリット
  • オンライン診療の非実施理由
  • メーカーMRの訪問状況
  • メーカーへの問い合わせ手段
  • MR訪問抑制における情報減少の問題有無
  • MR訪問以外のメーカーの情報提供
  • MR訪問メーカーと適切な情報提供メーカー
  • 感染リスクやそれ以外の不安感
  • 治療薬の認知度・期待度

■本件お問い合わせ先

株式会社社会情報サービス
担当 傳農、高辻、木原
TEL 03-6709-9710
FAX 03-5361-7431
e-mail傳農:hdennoh@ssri.com
高辻:ytakatsu@ssri.com
木原:jkihara@ssri.com
■株式会社社会情報サービス
設立 1982年4月
資本金 2700万円
代表者 代表取締役 牧田 孝
従業員数 137名
所在地 本社
〒162-0067
東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F
大阪支社
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町4-6-3 大明ビル4F
関連会社 PDリサーチ株式会社、SSRI China Co., Ltd.(中国法人)
URL https://www.ssri.com/
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