プレスリリース

報道関係者各位
2021年12月01日
株式会社 社会情報サービス

国民健康調査データベースNHWSよりQOLメンタルスコアが低い疾患を抽出
上位10疾患は精神疾患だが、月経に伴う婦人科系疾患も上位に上がる

  • Quality of lifeのメンタルスコアが低い(悪い)上位25疾患を国民健康調査データベースNational Health and Wellness Surveyより抽出
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)他上位10疾患は精神疾患だが、月経に伴う婦人科系疾患も上位に上がる
  • 精神疾患以外の疾患ではその症状や発作の出現をコントロールできないことやその症状や発作の出現によって引き起こされる不安感が日常生活の大きな支障となり、アンメットニーズの指標となった

 株式会社社会情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:牧田孝)は提携している米国Cerner Enviza社(Kantar Health社がCerner社の一事業部門として統合され、2021年10月に社名変更)が企画・実施する世界12か国の国民健康調査NHWS(National Health and Wellness Survey)を利用し、日本においてどのような疾患が低いメンタルスコアを示しているのか調査いたしました。調査に利用したメンタルスコアはSF12-V21のMental Component Summary Score (MCS)で、そのスコアが取られている150以上の疾患でスコアが低い順にランキングを行いました(スコアが低ければ低いほどQuality of life (QOL) がより悪いことを示しています。そのため上位ほどQOLは悪くなります)。n数が少ない疾患は除外し、上位25疾患を抽出、そしてその25疾患を散布図にしたものが下記の図1になります。

(図1)
図1

 メンタルQOLスコアが低いTOP10の疾患は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が最も低く、全般性不安障害、強迫性障害(OCD)、恐怖症、社会不安障害、うつ病、不安神経症、注意欠陥障害(ADD)、双極性障害、注意欠陥多動性障害とすべて精神疾患でした。

 それ以降も上位に精神疾患が多い中、注目されるのはTOP25の中に多くの婦人科系疾患、特に月経にまつわる疾患が入ってきていることで、月経前不快気分障害(PMDD)(12位)、月経困難症(月経時の困難な症状や痛み) (19位)、月経時の大量出血(21位)、月経前症候群(PMS)(22位) がTOP25にランクインしました。12位の月経前不快気分障害(PMDD)は文字通り月経前に大きくメンタルに不調をきたす疾患で、抑うつ気分、不安、情緒不安定、イライラなどの精神的不調から睡眠障害を引き起こすこともある、精神疾患でもあります。22位の月経前症候群(PMS)はPMDDほど精神的な症状が強くはないものの、心身にきたす不調の種類は同様で、散布図からも非常に数多くの患者がこの症状に苦しんでいることが分かります。また、寝込んでしまうほどつらい月経困難症、コントロールできず出かけることもためらわれる月経時の大量出血も、メンタルの負担が大きいことを示しています。月経が毎月繰り返され、その症状に毎回苦しまなくてはならないことが分かっているにもかかわらずそれをコントロールできないという不安感は、メンタルスコアの低下に大きな影響を与えていると思われます。また毎月訪れるつらい症状は、日常生活における行動の幅を著しく狭め、そのことも併せてメンタルスコアの低下を招いていると推察されます。

 婦人科系疾患以外で注目されるべき疾患としては睡眠困難(不眠、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群を除く)や不眠症のような睡眠障害が上位に食い込んできていることです(ナルコレプシーはn数が少ないため今回のランキングからは除外されましたが、実際はかなり上位に位置しています)。このことは良質な睡眠をとれないことが、メンタルに多大な悪影響を与えることを証明していると言えます。布団に入っても眠れない精神的な辛さだけではなく、翌日の日中の不調は日常生活に大きな支障をきたし、それがメンタルスコアをさらに低下させている原因と推察されます。散布図からも不眠症の患者数は特に多く、不眠治療へのアンメットニーズの大きさを示しています。

 婦人科系疾患、睡眠疾患以外でランキングに入った疾患としては、上位からアルコール依存症(14位)、不安定狭心症/胸の痛み(17位)、便秘および/または下痢を伴う過敏性腸症候群(18位)、頻繁な下痢(20位)、てんかん(23位)、酒さ(24位)、むずむず脚症候群(25位)があげられます。酒さを除いては、その症状がいつ現れるのか分からずコントロールできないということが、これらの疾患の共通項目と言えます。症状や発作がいつ現れるのか分からないという不安感に常にさいなまされていること、そして症状の出現により日常生活に大きな支障をきたしている事実は、メンタルスコアに著しい悪影響を与えています。患者数としては頻繁な下痢が目立って多く、ここにも大きなアンメットニーズが残されているのを示しています。

1.Maruish, M. E. (Ed.). (2012). User’s manual for the SF-12v2 Health Survey (3rd ed.). Lincoln, RI: QualityMetric Incorporated

■本件お問い合わせ先

株式会社社会情報サービス
担当傳農、酒井、室賀
TEL03-6709-9710
e-mailnhws@ssri.com
■株式会社社会情報サービス
設立 1982年4月
資本金 2,700万円
代表者 代表取締役 牧田 孝
従業員数 137名
所在地 本社
〒162-0067
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〒541-0046
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MDB株式会社
SSRI China Co., Ltd.(海外子会社)
SSRI Asia Pacific Co., Ltd.(海外子会社)
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