プレスリリース

報道関係者各位
2023年08月25日
株式会社 社会情報サービス

CIインサイトレポート 「LN(ループス腎炎)」 リリース
新たな治療ターゲットとして注目度が高まるLN市場を徹底分析・予測

新規薬剤ボクロスポリンはLNの中心薬として国内で定着するとTOP KOLは予測
LN単体の臨床試験の重要性が高まる

 株式会社社会情報サービスは、注目される疾患分野について独自調査による開発動向や開発薬の評価を分析および将来的な市場動向を予測する「CIインサイトレポート」において、この度「LN(ループス腎炎)」をテーマに実施し、レポートを発表した。
 LN(ループス腎炎)はSLE(全身性エリテマトーデス)の臓器障害の1つであるが、SLE患者の半数以上に出現し、SLEの中でも予後を左右する重要な臓器障害として捉えられている。このことから、SLEとは異なる形で、個別の治療ターゲットとして近年、注目度が高まっている。
 治療薬はSLEと同様で、寛解導入期はステロイドと免疫抑制療法が中心である。免疫抑制療法では、長期に亘ってIVCY(エンドキサン)が使用されていたが、2015年8月にMMF(ミコフェノール酸モフェチル)が公知申請が受理され、使用が可能になって以降は、MMFの使用が急激に増加している。これに伴い、ステロイドとMMF+TAC(タクロリムス)のマルチターゲット療法が提唱されている。
 その様な状況下で、新規カルシニューリン阻害薬 ボクロスポリン<大塚製薬>が注目を集めている。ボクロスポリンは、2021年1月に米国で(米国製品名:LUPKYNIS)、昨年2022年9月に欧州でそれぞれ販売承認を取得し、国内では申請準備中である。LNは、SLEと同様に「ステロイド減量」が最大の治療目標とされているが、ボクロスポリンの最大の製品特性である “ステロイド低用量で寛解導入が可能”との点がLNの治療目標に合致することから、開発初期から国内外での期待度は高かった。国内のSLE関連の治療施設の多くが依然として「ステロイド減量」に難渋しているとの実情から、今回の調査対象医師である当該領域のTOP KOLは、“ボクロスポリンはLNの中心薬の1つとして国内でも定着する可能性は極めて高い”との予測を挙げており、今後の動向に注目が集まっている。
 また、海外はSLEとLNでそれぞれ適応取得が必要になる為、それぞれ個別で臨床試験を行なう必要があるが、国内はSLEで承認取得すればLNでも使用が可能であることから、SLEのみに特化した開発が以前は行なわれていた。
 しかしながら、近年はベンリスタ(ベリムマブ)<GSK>がLNに対する国際共同RCT臨床試験(BLISS-LN試験)を実施し、有意差を証明する結果を発表したことは国内外でのインパクトは大きく、これを契機にLNでの処方数は確実に伸長している。また、2番手のBiologicsサフネロー(アニフロルマブ)<AZ>も現在LNに対する臨床試験を実施しており、その結果発表が待たれる。これらのことから、近年のSLEの臨床開発の方向性としては、以前の様なSLEに特化した臨床開発ではなく、LN単体の臨床試験の重要性が高まってきている。
 LNは、これまでの“SLEの合併症の1つ”から、“1つの疾患”として確立されつつある中で、今後の市場動向、臨床開発の方向性に更に注目が集まると見られる。

■ 調査結果の一部抜粋

Part I データ分析編
オープンソースを基にした、既存品約30製品、開発品(SLE含む)約20製品を対象に、製品プロファイル、試験情報、学会情報、参入企業動向、論文情報を分析。
Part II 定量調査編
201名のLN/SLE臨床医(リウマチ・膠原病内科、腎臓内科、一般内科)を対象としたWEB定量調査
<内 Bio(ベンリスタ、サフネロー)User 116名>
“処方動向への影響度”の観点から「SLEで適応取得している薬剤のLNを対象とした臨床試験の必要性」について調査したところ、LNのメイン診療科であるリウマチ・膠原病内科、腎臓内科では約8割の医師「非常に高い」、「高い」と回答している。(一般内科では約7割の医師が同様の回答)
  • LNを対象とした臨床試験データの必要性については、 TOP2(”非常に高い“ ”高い“を合わせた割合)は8割。
  • 診療科別に見ると、リウマチ・膠原病内科、腎臓内科は「非常に高い」の割合が3割以上、 TOP2は8割を超える。
  • 一般・総合内科は「非常に高い」の割合は1割程度、TOP2の割合は7割弱である。
LNを対象とした臨床試験の必要性
Part III KOLヒアリング編
リウマチ・膠原病内科TOP KOL3名にヒアリング
  • 薬物療法について、寛解導入期の中心薬はステロイド+セルセプトorエンドキサン注射、近年はセルセプトの処方が大幅に増加と述べる。
  • Biologicsベンリスタの今後の処方動向については、BLISS-LNの影響が大きく、LNで処方数は確実に伸長すると予測する
  • 既存治療のアンメットニーズについては、(SLE同様に)依然としてステロイドの減量+減量までの期間の短縮が重要な問題と述べる。
  • 新規薬剤ボクロスポリンについては、国内ではステロイド減量に難渋する施設を中心に処方数は確実に伸長、将来的にLN治療の中心薬の1つになり得る可能性は非常に高いと予測する。
  • 今後の臨床開発については、(SLEで適応取得する薬剤も含めて)国内においてもLN単体での臨床開発の重要性は確実に高まってきているとの見方を示している。
  • 臨床開発の問題点については、リクルートが困難であることが最大のネックとの見方を示している。

■「CIインサイトレポート_LN」 全体概要

「CIインサイトレポート_LN」 全体概要

■「CIインサイトレポート_LN」 Part別概要

「CIインサイトレポート_LN」 Part別概要
*CI(正式名称:コンペティティブ インテリジェンス)……
自社の方針、戦略意思決定、運営に影響する外部の情報を倫理的に収集、分析、管理する組織的な一連のプロセスを指す。
日本語では「競合情報分析」と訳されることが多い。
[CIインサイトレポートの活用例]
  • 自社の営業、マーケティング、研究開発の事業方針・戦略に関する意思決定の指標として
  • 対象疾患市場・製品の Forecastingの指標として 等

■本件お問い合わせ先

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担当 : 廣瀬
TEL : 080-2171-4888
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