株式会社 社会情報サービス
プレスリリース
株式会社 社会情報サービス
SSRI 保険薬価データベース*を使用した薬価推移分析
米国価格との比較を実施
~米国との価格差と改定による差の広がりが明らかに~
株式会社社会情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:牧田孝)は、2023年4月に行われた薬価改定での収載品目を収載した「SSRI保険薬価データベース」*により日本における過去の薬価推移を調べ、これと米国における価格推移との比較分析を行いました。
日本経済は最近まで長期にわたりデフレ基調が続いたため、その間商品やサービスの価格は多くの場合横ばいないし下落で推移してきました。医薬品も例外ではなくその価格は下落傾向にありますが、薬価は公定価格であり政策的に引き下げられている側面が強いと言えます。
薬価は1988年4月から2018年4月まで30年間にわたり2年に1回のペースで全面改定が実施されてきました。例外は消費税が導入された1989年4月と消費税率が引き上げられた1997年4月で、本来の薬価改定年ではありませんでしたが消費税率の改定分を薬価に転嫁するために改定が実施されました。2019年10月にも消費税率が引き上げられましたが、この時は消費税率の改定分に止まらず、通常の薬価改定と同様に市場実勢価格に基づく薬価改定が行われました。それ以降は1年に1回のペースで薬価改定が実施されるようになり現在に至っています。
今回行った分析では、薬価改定が毎年行われるようになった初年度である2018年度に薬価収載された新薬について薬価推移を調べることとし、米国におけるASP*の推移との比較を行いました。ASPが公表されているのは医療機関の院内で投与される薬剤であるため分析対象は注射薬に限定することとし、また日本における発売年が海外における発売年から大きく遅れていない製品(5年以内の差)に限定して比較を行いました。
比較を行った10製品の日本の薬価改定率(累積値)は0%から-15.0%の範囲内にあり平均値は-6.2%でした。一方米国のASP改定率(累積値)は-0.8%から+20.0%の範囲内にあり平均値は+9.2%でした。日本の薬価は下降するか同一価格が維持されているのに対し、米国のASPは累積値では1製品を除いて全て上昇していることが分かります。
個別製品の例としてエンタイビオ点滴静注用を取り上げてみると、日本の薬価は米ドル換算すると米国ASPの2分の1未満と低く、また新薬創出加算のため円ベースでは価格が維持されているにも関わらず、米ドルベースでは最近の円安傾向が反映され価格が低下しています。米国と日本の価格の比は、2019年には1:0.43であったのが、2023年には1:0.31まで広がっていることが分かりました。
価格推移の詳細は以下の表およびグラフをご覧ください。
【価格推移の米国と日本の比較1】 - 2019年10月を100とする相対値(上段=米国のASP、下段=日本の薬価)
製品名(一般名) | 2019年10月 | 2020年4月 | 2021年4月 | 2022年4月 | 2023年4月 |
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ベスポンサ点滴静注用 (Inotuzumab Ozogamicin) | 100.0 | 100.1 | 103.1 | 106.0 | 109.2 |
100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | |
テセントリク点滴静注 (Atezolizumab) | 100.0 | 100.5 | 101.5 | 102.9 | 105.3 |
100.0 | 100.0 | 88.5 | 88.5 | 88.5 | |
ファセンラ皮下注 (Benralizumab) | 100.0 | 100.9 | 100.3 | 98.3 | 99.2 |
100.0 | 100.0 | 100.0 | 89.2 | 89.2 | |
シベクトロ点滴静注用 (Tedizolid Phosphate) | 100.0 | 104.6 | 106.4 | 111.6 | 111.2 |
100.0 | 98.0 | 98.0 | 95.4 | 92.6 | |
ヘムライブラ皮下注 (Emicizumab) | 100.0 | 99.9 | 100.4 | 102.8 | 105.5 |
100.0 | 85.0 | 85.0 | 85.0 | 85.0 | |
エンタイビオ点滴静注用 (Vedolizumab) | 100.0 | 101.5 | 104.0 | 109.3 | 109.9 |
100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | |
イミフィンジ点滴静注 (Durvalumab) | 100.0 | 101.1 | 102.8 | 103.3 | 105.3 |
100.0 | 100.0 | 88.5 | 88.5 | 88.5 | |
ガザイバ点滴静注 (Obinutuzumab) | 100.0 | 101.0 | 100.3 | 101.5 | 106.4 |
100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | |
ビーリンサイト点滴静注用 (Blinatumomab) | 100.0 | 99.9 | 103.5 | 109.7 | 120.0 |
100.0 | 100.0 | 100.0 | 99.8 | 99.8 | |
ザバクサ配合点滴静注用 (Ceftolozane/Tazobactam) | 100.0 | 105.0 | 113.5 | 114.2 | 119.9 |
100.0 | 99.6 | 99.6 | 94.4 | 94.4 | |
平均値 | 100.0 | 101.5 | 103.6 | 106.0 | 109.2 |
100.0 | 98.3 | 96.0 | 94.1 | 93.8 |
官報告示に基づく昭和53年以降の薬価収載品目全て(令和5年5月現在、約45,900品目)において、銘柄、規格単位別に収録。「最新(現状)薬価」「過去の薬価(推移)」「薬価基準収載年月日」「医薬品コード」「最大・最小薬価」など、48項目の情報を網羅しております。その他、経過措置品目や薬価収載削除品目の情報も収録されたデータベースです。
https://www.ssri.com/service/omnibus/medical/
■薬価データベースお問い合わせ先
株式会社社会情報サービス | |
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担当 | 傳農、小野塚、酒井 |
TEL | 03-6709-9710 |
yakka@ssri.com |
■株式会社社会情報サービス | |
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設立 | 1982年4月 |
資本金 | 2,700万円 |
代表者 | 代表取締役 牧田 孝 |
従業員数 | 137名 |
所在地 | 本社 〒162-0067 東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F |
大阪支社 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町4-6-3 大明ビル4F | |
関連会社 | PDリサーチ株式会社 MDB株式会社 SSRI China Co., Ltd.(海外子会社) SSRI Asia Pacific Co., Ltd.(海外子会社) HIMA Research(海外関連会社) |
URL | https://www.ssri.com/ |