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2023年09月07日
株式会社 社会情報サービス

新薬投与の可能性を患者数の観点から分析
-PatientsMap2022JP版より-

新薬投与市場の大型セグメントにアレルギー性鼻炎・花粉症、コロナ、高血圧症、2型糖尿病
高齢化社会における慢性疾患のアンメットニーズの重要性が浮き彫りに

 医師調査による患者数データベース「PatientsMap」を開発・販売する株式会社社会情報サービスは、2022年度日本版のPatientsMapデータを利用して、新薬導入の市場性に関する分析結果を発表しました。
 今回の結果から、既に治療薬が導入されていたとしても治療ニーズが十分に満たされておらず、新薬投与の可能性がある大型セグメントが明らかとなりました。

分析の背景

 新薬を開発するにあたっては、新薬の投与市場規模を算定する必要があると考えられますが、新薬投与の市場規模が大きい疾患はどのような疾患があげられるでしょうか?今回は、PatientsMapのデータを分析することで、患者数の観点から新薬投与市場の可能性を明らかにしていきたいと思います。

分析の結果

 PatientsMapデータから、新薬投与が見込まれる市場規模を分析した結果、新薬投与が見込まれる市場規模が大きい上位10疾患は、季節性アレルギー性鼻炎・花粉症、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、高血圧症、2型糖尿病、変形性関節症、骨粗鬆症、認知症、糖尿病、緑内障、スギ花粉症となりました。
 これらの疾患は、長期にわたる治療が必要な慢性疾患であり、高齢者によく見られるもので、高齢化社会の進展に伴い今後も患者数が増加すると予測されます。一方で、新薬の市場規模が大きい結果となった疾患の多くは、新薬の需要や新薬を望む患者の割合の観点から分析した場合においては、決して上位に位置する疾患ではありません。
(参考:新薬開発におけるアンメット・メディカル・ニーズ分析

新薬ニーズがある医師が診療する疾患別市場規模 上位20疾患(PatientsMap2022JPより)

推計患者数新薬ニーズがある
医師において新薬投与が
考慮される推計患者数
新薬ニーズ新薬を要望する
患者割合
疾患名NN%%Ave
季節性アレルギー性鼻炎・花粉症7,250,000980,000(-14%)19%51.80%
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)3,120,000940,000(-30%)37%67.10%
高血圧症10,680,000830,000(-8%)12%51.20%
Ⅱ型糖尿病5,900,000670,000(-11%)14%54.10%
変形性関節症2,720,000580,000(-21%)24%57.30%
骨粗鬆症3,200,000580,000(-18%)19%57.50%
認知症1,920,000570,000(-30%)37%70.70%
糖尿病6,170,000560,000(-9%)12%54.00%
緑内障1,270,000500,000(-39%)32%56.90%
スギ花粉症4,650,000490,000(-11%)14%54.10%
腰痛症3,000,000410,000(-14%)15%61.10%
アルツハイマー型認知症1,270,000400,000(-31%)36%71.50%
脂質異常症(高脂血症)6,530,000400,000(-6%)10%53.30%
ドライアイ1,640,000370,000(-23%)13%57.90%
睡眠障害3,180,000360,000(-11%)15%59.20%
変形性膝関節1,880,000360,000(-19%)20%58.70%
不眠症2,780,000310,000(-11%)15%59.10%
便秘症4,430,000300,000(-7%)12%55.90%
アトピー性皮膚炎1,430,000290,000(-20%)20%56.70%
慢性心不全1,620,000270,000(-17%)21%56.30%
平均27%62.20%
※数値は万単位で表示
※表中に記載されている()内の割合は、各疾患の「推計患者数」を100%としたときの割合

最後に

 以上の分析結果から、新薬投与の可能性がある市場の規模が大きい疾患の中には、既にいくつかの治療薬が存在するものの、まだ十分な対応ができていない患者層が多数存在していることが示唆されます。特に、高齢者に多く見られる疾患が上位に位置していることは、高齢化社会が進展する中で、これらの疾患に対する需要が今後も増加していくことが予測されます。
 現在の新薬メーカーの開発動向がバイオ製品や抗体医薬などにより癌や希少疾患中心になっている中で、やはり患者数が多い慢性疾患(大型セグメント)の中でも新薬による治療が必要と考えられる患者は、割合は低くても規模としては癌や希少疾患を大きく上回ることを改めて認識できる結果となりました。

PatientsMapとは

 PatientsMapは医師の協力により、約400疾患の診療率や患者数、アンメット・メディカル・ニーズ(新薬を望む疾患、新薬を望む理由、新薬投与を考慮する患者割合)、製薬メーカー各社のリアルMRとe-ディテールの活動状況について調査した大規模データベースで、2010年から10年以上にわたって同じ調査フレームで継続的に調査を実施しています。

「PatientsMap2022年日本版 (2022JP)」の概要

 エムスリー株式会社が運営する医療従事者向けポータルサイト「m3.com」の会員医師を対象に調査を実施しました。

調査疾患数 437疾患(調査疾患一覧はこちら
調査対象 エムスリー会員医師
調査方法 インターネット調査
分析対象数 20,219人
実施期間 2022年5月10日~2022年9月5日実施
調査項目 診療疾患
診療患者数
薬剤処方患者数
新薬の登場を望む疾患
新薬の登場を望む理由
新薬の投与を考慮する患者割合
MRの訪問を受けたメーカー
MRのリモート面談を受けたメーカー
インターネットによる情報提供の有無
信頼しているメーカー

なお、本サービスにつきましては、日本国内では、株式会社社会情報サービスとエムスリー株式会社が共同で提供いたします。

■本件お問い合わせ先

株式会社社会情報サービス
e-mailpatientsmap@ssri.com
https://research.ssri.co.jp/pmap/
■株式会社社会情報サービス
設立 1982年4月
資本金 2,700万円
代表者 代表取締役 牧田 孝
従業員数 137名
所在地 本社
〒162-0067
東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F
大阪支社
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町4-6-3 大明ビル4F
関連会社 PDリサーチ株式会社
MDB株式会社
SSRI China Co., Ltd.(海外子会社)
SSRI Asia Pacific Co., Ltd.(海外子会社)
HIMA Research(海外関連会社)
URL https://www.ssri.com/
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