株式会社 社会情報サービス
プレスリリース
株式会社 社会情報サービス
医師の新薬に対するアンメットニーズ15年間で構造変化
革新的新薬でニーズが充足する一方、QOL領域(変形性膝関節症、腰痛症など)で新たな期待
医師調査に基づく患者数データベース「PatientsMap」を開発・販売する株式会社社会情報サービスおよびエムスリー株式会社は、2011年から2025年に至る15年間における、医師が新薬を望む割合(以下「新薬ニーズ」)に関する分析結果を発表しました。
本分析により、革新的な薬剤が導入された疾患領域において医師の要求が高度に充足される一方、QOL(生活の質)に直結する疾患群では、新たな薬剤への期待が高まっている実情が浮き彫りとなりました。
調査結果のハイライト
1. 全体傾向:新薬に対するニーズは15年間で緩やかに低下
分析対象とした127疾患全体における新薬ニーズの推移は、15年間で緩やかな低下傾向が認められます。この結果は、多くの疾患領域で治療が進歩し、医師の新薬ニーズが一定程度充足されたことが示唆されます。
2.新薬ニーズの低下が顕著な疾患(アンメットニーズの充足を示唆)
特に新薬ニーズの低下が顕著であったのは「C型慢性肝炎」であり、直近(2022-2025年)の変化指数は26%(74ポイント減)でした。当該領域における治療の飛躍的な進歩により、医師のニーズが著しく充足されたことが示唆されます。その他、乾癬、アトピー性皮膚炎、慢性リンパ性白血病などにおいても、新薬ニーズの充足傾向がみられました。
- C型慢性肝炎: 26%(74pt減)
- 乾癬: 55%(45pt減) / 尋常性乾癬: 60%(40pt減)
- 慢性リンパ性白血病(CLL): 63%(37pt減)
- 強直性脊椎炎: 63%(37pt減)
- アトピー性皮膚炎: 65%(35pt減)
- 多発性硬化症: 70%(30pt減)
3.新薬ニーズの高まりが顕著な疾患(アンメットニーズの存在を示唆)
一方で、新薬ニーズの高まりが最も顕著だったのは「続発性正常圧水頭症」で、直近(2022-2025年)の変化指数は148%(48ポイント増)でした。その他、変形性膝関節症、不眠症、腰痛症、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛といった、患者のQOLに密接に関連する疾患領域で新薬ニーズが高まっている傾向がみられました。
- 続発性正常圧水頭症: 148%(48pt増) / 特発性正常圧水頭症: 121%(21pt増)
- 変形性関節症: 121%(21pt増) / 変形性膝関節症: 131%(31pt増)
- 不眠症: 129%(29pt増)
- 腰痛症: 125%(25pt増)
- 帯状疱疹後神経痛: 122%(22pt増)
- 三叉神経痛: 120%(20pt増)
4.領域別動向:がん領域
がん領域における新薬ニーズの平均変化指数も、全体と同様に緩やかな低下傾向を示しています。この背景には、「慢性リンパ性白血病(CLL)」(63%)、「悪性黒色腫(メラノーマ)」(71%)、「多発性骨髄腫」(72%)、「慢性骨髄性白血病(CML)」(73%)といった血液がんや一部の固形がんにおいて、治療法が飛躍的に進歩し、医師のニーズが急速に充足したことが示唆されます。
一方で、「閉経前乳がん」(113%)、「HER2陽性乳がん」(109%)、「脳腫瘍」(107%)のように、変化指数が横ばい、あるいは微増している疾患も存在します。ここの結果から、治療が進歩する中でも新たな課題が生まれ、次なる治療選択肢への期待が高まっていることが推察されます。
総括
今回の分析結果は、過去15年間における新薬開発の目覚ましい進歩と、それに伴う新薬ニーズの構造的変化を明確に示しています。C型慢性肝炎や一部のがんのように、革新的な新薬の登場でニーズが著しく充足された領域がある一方、QOLに関連する疾患群でニーズが高まっている実態が浮き彫りとなりました。
特に、変形性膝関節症、腰痛症、不眠症といった疾患でニーズが高まっている背景には、高齢化の進展に伴い患者数が高まっている一方で、既存の治療法では医師や患者の満足度が依然として低い実情があると推察されます。
このことは、医療現場の期待が従来の「救命・延命」だけでなく、「QOLの維持・向上」へもシフトしていることを示唆し、今後の新薬開発においては、こうしたQOL領域のアンメットニーズにいかに応えるかも重要な課題となる可能性が示唆されます。
調査結果の詳細
https://www.ssri.com/press_release/2025/12/05/20250331-2/
「PatientsMap」について
PatientsMapは、医療現場の医師のインサイトを多角的に収集・分析した医師調査データベースです。本調査レポートのような時系列データは、製薬企業の研究開発戦略の策定、新薬のポテンシャル評価、アンメットメディカルニーズの特定において、客観的なエビデンスとしてご活用いただけます。PatientsMapは、今後も医療現場の医師の声を可視化することで、医療の発展に貢献してまいります。
https://www.ssri.com/service/omnibus/patientsmap/
調査概要
| 調査対象 | : | 日本全国の医師(各年2万人超) |
|---|---|---|
| 調査期間 | : | 2011年~2025年(各年1回実施) |
| 調査方法 | : | インターネット調査 |
| 分析項目 | : | 各疾患における「新薬を望む医師の割合」の時系列推移、および4年移動平均の変化指数(2011-2014年を100%として算出) |
■本件お問い合わせ先
| 株式会社社会情報サービス | |
|---|---|
| patientsmap@ssri.com | |
| 株式会社社会情報サービス | |
|---|---|
| 設立 | 1982年4月 |
| 資本金 | 2,700万円 |
| 代表者 | 代表取締役 牧田 孝 |
| 従業員数 | 137名 |
| 所在地 | 〒162-0067 東京都新宿区富久町10-5 NMF新宿EASTビル 2F、3F |
| URL | https://www.ssri.com/ |
| エムスリー株式会社 | |
|---|---|
| 設立 | 2000年9月 |
| 資本金 | 293億51百万円(2025年3月31日現在) |
| 代表者 | 代表取締役 谷村 格 |
| 連結従業員数 | 15,360名(2025年3月31日現在) |
| 所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂1丁目11番44号 赤坂インターシティ10F |
| URL | https://corporate.m3.com/ |
