プレスリリース

　新型コロナウィルス感染の拡大に伴い国内での医療体制への影響が懸念されている。ヘルスケア領域の専門の調査会社の株式会社社会情報サービス（以降、SSRI）は、医療現場で診療に従事する病院（20床～/以下HP）と開業医診療所（～19床/以下GP）の内科系医師を対象に、意識調査を行った。回収数は558人（HP341人、GP217人）。
本調査では、2月27の政府による学校の休業要請の前後や検査の保険適応後の状況の変化も捉えながら、現場での対応や感染予防対応や医師の負担感などについて聞いた。

　新型コロナウィルス感染を疑った患者の有無を2月26日以前、2月27日～3月3日、さらに3月4日以降の3時点について確認したところ、新型コロナウィルス感染を疑う患者を診療した医師割合は、26日以前で20%、2月27日~3月3日で27％、3月4日以降で42%と増加していることが確認された。
また、通常診療への影響があり診療患者数が減ったと回答した医師割合は23％、48％、61%と増え、また電話での問い合わせが増えたとする回答も、16％、26％、33％と増加した。これらは2月後半から3月に入っていく期間において新型コロナウィルス感染の問題が大きく医療現場に影響を与えていることを表している結果と言えよう。

　そのような中、医師たちの診療時の感染対策の問いに対し、ゴーグルや高機能マスク、防御服などの高度の防御対策をとっているとする医師は8％（HP12％、GP3％）。新型コロナ対応としてサージカルマスクなどの一般的感染対策をとっている医師は67％、一方でこれまでどおりの日常診療を行っている医師は24％であり特に開業医診療所の医師では30％と約3分の１が特別な対策なく診療している実態も明らかになった。

　医師自身の感染リスクに対する不安感は非常に不安12％、やや不安47％を合わせて59％と半数を超え6割の医師が不安感を感じている。さらに負担感については、身体的負担については5割の医師（非常に負担＋やや負担の合計）、精神的負担については、7割の医師（非常に負担＋やや負担の合計）が負担を感じていると回答した。これらは診療現場の医師が自身の感染に対する不安と身体的ならびに精神的なストレスを受けながら診療活動を行っていることをうかがわせる結果と言える。

　現在PCR検査が保険適応となり、その他の検査方法も含め検査体制が整備されていることが見込まれるなかで、どのようなケースで検査を実施すべきかを質問したところ、症状や感染リスクから医師が必要を認めた場合に実施するべきとする医師が６割と多くを占め、感染リスクがあり希望があれば実施するべきとする27％を大きく上回った。

　今後検査体制が進み検査数と感染者はさらに増えていくことが予想されているが、医療現場での体制構築や対応力強化が必要と言われるものの、現場で実際に診療に携わる医師においてはますます負荷がかかっていくことは避けられないと思われる。感染対策の実情や検査対象者についてのスクリーニング条件をどのようにすべきかなど、医療現場から届く情報は今後より重視されるべきものと考える。

　社会情報サービスは、医薬品業界において、現在開発中の新薬や既発売医薬品に関するテーマについて医師対象調査がメインの第三者調査機関。製薬企業各社がMR活動を自粛している状況下、医師は医薬品に関する情報源としての製薬企業のMRの役割をどのようにとらえているのか、MRの訪問規制により不便さをどの程度感じているかとの質問において、28％は困ったことがあるとの回答であった。また医師の方から問い合わせをした割合は21％と、メーカーの活動自粛は医薬品使用における情報を得ることに一定の影響を与えていることもうかがせる結果であった。

　本調査の結果は、調査に協力した医師へのフィードバックと報道資料としての提供、また医療医薬品関連産業に対しても提供する予定。

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